very,inc.

みんなのいろんなイロイロノート! every,

わたしたちのステイホーム

私は、家が好きです。
特別おしゃれなおうちでもなければたいして広くもなく、眺めだって良くはない。
それでも好きなものに囲まれた我が家で、夏は扇風機最前列、
冬はおこたの隅っこで何もせず何も考えずにただイモ虫のように丸まって過ごす時間は、
紛れもなく至福の時間。


「我が社もリモートワークをはじめます」
靭公園の満開の桜の木の下で花見ができないことを恨めしく思っていた4月の初旬、
グレーのウレタンマスクをつけた社長がついに社員たちに告げた。

(だらけるための家で、「だらけ」と正反対である「仕事」をする、、だと、、?)

モクモクと曇り空のように浮かぶクエスチョン。
なんとなく他の社員たちの顔色もうかがってみる。
日頃からパッとしない顔がさらになんとも言えない眉毛の歪み&土気色の顔で、それ以上見るのをやめた。


社員たちは各々自宅の制作環境を整えつつ、
きっといろいろな思いを巡らせながら徐々にリモートワークに切り替えていった。

〈おはようございます。これよりリモートで就業します、よろしくお願いします。〉

私たちは、毎朝自宅からスカイプを使って文字で「おはよう」を伝え合うようになった。
たまに画面で顔を見せて打ち合わせをしたり、音声でやりとりしたりはあるけれど、
毎朝行っていた朝礼と言う名の井戸端会議や、なぜかどうでもいい話になる打ち合わせ、
長年やりすぎていてわかっていても知らないふりをしなければならず、
主役なのに演技力を試されるサプライズ誕生日会もなくなった。

リモートの話がチラホラ出始めた頃から、そうなるやろうなぁということは話していた。
私たちはリモートに入る手前のギリギリの時期に、ひとつのプロジェクトを立ち上げた。

プロジェクト名は
「Mission In-Home-ble.(ミッションインホームブル)」






表向きは、大阪の小さなデザイン制作会社として、お家の中やその周辺で過ごす時間を、
少しでも楽しく豊かになるように工夫してみる様を見て欲しいと言う世の中への発信。

しかし本当は、このいつ終わるか分からないリモート期間になんとかチームとしてお互いの肌感や空気感を失ってしまわないようにと、
私たちによる私たちのための命綱のような役割を果たしてくれるようなプロジェクトにという気持ちがあった。
なので、誰か一人が綺麗に写真を撮って発信するのではなく、スタッフそれぞれが写真を撮り、
文章を添え、インスタグラムに投稿する形をとった。

当たり前のように毎日顔を合わせていたスタッフたちが、離れた場所でどんな風な毎日を過ごしているのだろう。
ここではインスタグラムより、スタッフの投稿写真をいくつかピックアップしてご紹介する。




( すべてhttps://www.instagram.com/mih.very/ より )



緊急事態宣言が解除され6月に入り、私たちは一旦リモート形態を終え、
今この文章は出社してオフィスのデスクで書いている。

ほぼ二ヶ月ぶりに出社した朝、
ソーシャルディスタンスを守りながら並んでいるみんなのマスクで半分隠れた顔を眺めた。
社長はウレタンマスクから昆虫の口みたいなハイテクなマスクに変わっており、
構造を見せながら「これ口のとこに空間ができてめっちゃええねん」と言っていた。
口から外すと昆虫ではなく、屋形船みたいな形だなぁと思った。

あんなに大切にしなければと思いつめていたスタッフたちとの肌感はと言うと、
出社2日目ぐらいにはデスクの隣の人と向かいの人がペチャクチャ噛み合わない話をしていて、
うるせぇなぁと暑苦しさを感じた。


でも、こうやってリモートワーク中のスタッフたちの写真を並べて見返していると、
(始まりは桜が一番綺麗な時期だったなぁ)とか
(あのデザイナーは今日も朝まっくろワンコロの散歩をしてきたのかな)
などと少なからず思いを馳せることができる。
何もしなければ生まれなかった思いがここにあることを感じながら、
きっとこれで良かったんだなとちょっとだけグッときた。


決してまだまだ安心できない現状。
また緊急事態宣言が出され、
みんなと顔を合わせることができなくなることも十分あり得るときっとみんなが思っている。
その時はまた、このプロジェクトを再開し、
そのあと同じようにこうやって振り返りながら思いを馳せたいなと思う。


つぎの社長のマスクはどんな形になっているかなぁ。

  • Twitter
  • Facebook